公務員の通勤手当不正受給はなぜ多い?グレーゾーンは処分されない?

こんにちは、現役公務員のミドニーです!

いつもご覧いただき、ありがとうございます。

今回のテーマは、公務員の通勤手当不正受給はなぜ多い?グレーゾーンは処分されない?です。

公務員の手当不正受給で、最も多く耳にする通勤手当の不正受給。

どうして通勤手当は不正受給が多いのか?

現役公務員が、公務員の通勤手当不正受給のリアルを語ります!

公務員の通勤手当不正受給の判断

そもそも公務員が通勤手当を不正受給していると判断されるのは、どのようなケースなのか。

まずは、あきらかな不正受給について例を挙げて説明していきたいと思います。

通勤方法が違う不正受給

通勤手当をもらうためには、「私はこの通勤方法で通勤しています」という申告を職場にしなければなりません。

その申告を職場が審査・認定し、通勤方法や距離に応じて通勤手当が支給されるのです。

しかし、自動車通勤として申告し、通勤手当をもらっていながら、実際は徒歩で通勤していた等の場合、本来はもらえない通勤手当をもらっていることになります。

これは疑うことなく不正受給になります。

公務員の通勤手当不正受給として報道されるのは、ほとんどこのパターンです。

通勤距離が違う不正受給

通勤距離をごまかして多く見せている場合も、通勤手当を本来よりも多くもらえることになりますので、通勤手当の不正受給にあたります。

本当は11kmの通勤なのに、16kmと申告するなどのケースです。

ただ最近は、高精度な通勤距離測定システムなどが無料で使えるようになっていますし、自治体でも積極的にシステム計算の導入が進んでいるため、自己申告で長めの通勤距離を申告したとしても、認定される時点で正しい距離に訂正されるケースが多いです。

ちなみに通勤距離は、「一般的に使用可能な最短ルート」で計算されます。

申告時に通勤距離を長く見せるため、遠回りルートで通勤手当を申告したとしても、認定されるときは、最短ルートで認定されてしまうので意味はありません。

自宅の場所が違う不正受給

そもそも通勤の出発地点である自宅を、事実と違う場所で申告しているようなケースです。

本当は単身赴任で職場の近くに住んでいるのに、遠い自宅から通勤をしているように見せかけて申告をすると、実際よりも通勤手当が多くもらえることになります。

これは紛れもない不正受給にあたります。

申告した自宅の場所が事実と違うということは、住宅手当の不正受給に関連してくるケースもあるでしょう。

レアケースだとは思いますが、かなり悪質度の高い不正受給だと言えます。

公務員の通勤手当不正受給のグレーゾーン

ここまで見てきたような明らかな不正受給の場合、当然、公務員本人も自覚していることが多いです。

要するに確信犯ですね。

そして客観的に誰の目から見ても不正受給であることは明らかです。

しかし、通勤手当の不正受給には、実質的にグレーゾーンのようなケースもあります。

通勤手当不正受給のグレーゾーンについて具体的に見ていきます。

日によって通勤方法が違うのは不正受給?

通勤手当の申告をする時、通勤手段というのは原則1パターンしか申告できません

原則として自転車と電車を使って通勤するのであれは、申告すべき通勤手段は自転車と電車となります。

しかし実際は、毎日必ず自転車と電車を使って通勤するとは限りません。

例えば、雨の日は自転車ではなくバスで通勤することはありえますよね。

また、電車がトラブルで遅れているときは、自動車を使うかもしれません。

タクシーで帰宅したり、同僚の車で自宅まで送ってもらうこともあるでしょう。

このように、申告と違う通勤方法を使うケースは無数に考えられます。

しかし、申告した通勤手段と違う方法で通勤したからといって、すぐに不正受給にあたるかと言うと、そうではありません。

通勤方法が申告と違ってもセーフ

職場に公務員が申告すべき通勤方法は、最も基本とする通勤手段になります。

日によって申告と違う通勤手段を用いることがあったとしても、あくまで基本は申告した通勤手段で通勤していれば、不正受給数とはみなされません。

「たまに」違う通勤方法となることは、織り込み済みなのです。

雪の少ない地方に珍しく雪が積もったとして、「通勤申告どおりに、自転車や(スタッドレスをはいていない)自家用車で通勤しろ」なんて言えませんからね。

ただし、「月に何回までなら違う通勤手段でもいい」といった細かい決まりがあるわけではありませんので、「不正受給かどうか」の具体的な判断は職場の給与組織などがケースごとに判断していくことになります。

月の半分以上の日数を、申告した通勤方法と違う方法で通勤していたのであれば、不正受給とみなされる可能性が格段に上がりますので、「月の半分以上」というのが不正受給かどうかを判断する基準になってくるかと思います。

通勤手当額より通勤費用が少ない場合

月の半分以上は申告通りの通勤方法で通勤しているとしても、実際に通勤にかかった費用が通勤手当の金額より少ない場合は、通勤手当を多くもらっているということで、不正受給にあたるのでしょうか。

例えば、一か月20日通勤のうち、13日はバス通勤、7日は徒歩通勤をしたとします。

その場合、バス代は13日分しかかかっていないため、通勤手当として20日分のバス代をもらうのは不正受給ではないか、ということです。

この点については判断が難しいところですが、通勤手当額より実際の通勤費用が少ないとしても、それがすぐに通勤手当の不正受給とみなされるということはありません。

実際、研修や出張、休暇などで月のほぼ全ての日について通勤していなかったとしても、一か月に1日でも出勤した日があれば、通勤手当というのは原則満額が支給されます。

つまり実際に通勤にかかった費用が1日分であっても丸1ヶ月の通勤手当が支給されるというケースは普通に認められているのです。

そうでないと、公務員一人一人の1か月に実際にかかった通勤費用を毎月計算して支給する、といった膨大な手間が発生してしまいますからね。

そのため通勤手当額より通勤費用が少ないことが、すぐに問題になるわけではありません。

とはいえ、結局はケースバイケースで判断されるため、絶対に大丈夫とも言い切れないグレーゾーンになります。

ちなみに、通勤手段ごとにいくらの通勤手当がもらえるのかについては、以下の記事で解説しています。

参考: 現役公務員が通勤手当の距離や上限、計算方法を解説!上乗せ額の実態も!

通勤手当のグレーゾーンは処分されない?

通勤手当にはグレーゾーンがあると解説しましたが、グレーゾーンだからといって必ずしも懲戒処分されないとは限りません。

公務員組織や自治体によって、適用されるルールや解釈といったものは異なりますし、グレーゾーンと一括りに言っても、一人一人状況や不正受給額なども異なるでしょう。

結局は、それぞれのケースについて慎重に判断されて、結論が出るということになります。

実際に公務員の通勤手当不正受給として報道されているケースなどは、明らかに「月の半分以上を申告と異なる通勤方法で通勤していたケース」であり、誰がどう見ても通勤手当の不正受給と判断するような事例です。

公務員組織に限らず、明らかな不正でない限り処分というのはなかなかしにくいものですからね。

ただ、そもそもグレーゾーンだと疑われるような通勤方法は行わないのが一番です。

本人にそのつもりがなくても、周囲から見て通勤手当の不正受給ではないかと思われてしまうのは、印象が良くありません。

万が一不正受給と判断されて懲戒処分などされたら、大変なことになります。

通勤に関する事情は個人ごとに色々ありますが、そのような点を踏まえて、通勤方法などを申告するように気を付けたいですね。

通勤手当を少しでもお得に・・と考えるのであれば、不正受給などはせずに堂々とお得にもらう方法もありますので、よろしければ以下の記事をお読みください!

参考: 公務員が通勤手当で儲ける方法!?自転車通勤最強説!

まとめ

公務員による手当の不正受給の中でも、通勤手当が多く報告されているのは、通勤手当の不正受給にはグレーゾーンが多く存在する為だと思われます。

たまに違う通勤方法で通勤するのはOKとされていますが、それが徐々にエスカレートして、いつのまにか主な通勤方法が申告内容と違ってしまう、ということもあるでしょう。

そしてそのような状態は、なかなか周囲には分かりません。

申告と違う通勤手段で通勤しているの見かけたとしても、それが毎日なのかたまたまなのかというのは、常に観察でもしていないと判断ができないですからね。

もし何らかの事情で、2種類の通勤方法を半分ぐらいずつ日によって使い分けなければいけないような場合は、不正受給と疑われないために、通勤手当額の安い通勤手段を主な通勤方法として申告しておくのもよいと思います。

夫婦日替わりで子供の保育園の送迎を担当しており、送迎の有無によって車通勤と自転車通勤を使い分けているような場合は、手当額の安い自転車通勤で申告しておく、といった感じです。

なお、実際の公務員の通勤手当不正受給例については、以下の記事で解説しています。

なかには、300万円超の不正受給をしたとして処分されたケースも・・・。

参考: 公務員の通勤手当不正受給の実例と共通点!300万超の懲戒処分例も!

それでは、今回も貴重なお時間のなか『現役公務員ママの本音とリアル』をご覧いただきまして、ありがとうございました!